モテる社会見学

この世は常に学びに革命が起きている。世の中に創造されていないものに着想と実装を。

【モテるイノベーション】消費行動をデザインする為に知っておくべきこと

 

f:id:PRBOOK:20210901165143j:plain

そもそも消費行動とは

僕たちは、日々の生活する上で、必ずモノやサービスの消費行動を行なっている。食料品、日用品、趣味嗜好品、移動手段、レジャーなどなど、朝目が覚めて、夜寝るまでの行動のひとつに、消費行動があり、生活習慣に組み込まれているぐらい重要な行動なのだ。そして、生活習慣に組み込まれているからこそ、朝起きて寝ぼけまなこで歯を磨くぐらい無意識に行動しているのではないだろうか。

この無意識を掘り下げ、この消費行動を少し、定義してみようと思う。       消費行動とは、消費行動の対象となるモノやサービスや、それを提供する企業に対して、共感したり、応援したいという、言わば意思表示する行動だと定義できると思うのである。そして、この行動が無意識に行われているのではないだろうか。例えば、自分が買い物カゴに、無意識に衣服用洗剤を手に取るシーンを思い浮かべて欲しい。行きつけのスーパーで迷わず手に取った衣服用洗剤は何故、迷わず無意識に買い物カゴに入れたのだろう。理由は様々あるだろうけれど、その一つに今回が一度目の購入ではなく、以前から使用しているからというパターンがあると思う。

きっかけはさておき、自分がその商品を気に入っていることに間違いない。又、例えば、気に入っているその洗剤に欠陥品があり、お客様サービスセンターに問い合わせところ、イマイチな対応をされたとしよう。そうなると少なからずその商品やその商品を提供する企業のことを、たちまち嫌いになるのではないだろうか。

消費行動とはそういう潜在的な意識や心理的な感情による行動なのである。     つまり、僕たちはモノやサービスの消費行動を行うことでモノやサービス自体と、それらを提供する企業を無意識に共感や応援するという意思表明と言えるのである。

企業の課題

一方、企業側もどうすれば自社製品やサービスを長く利用してもらえるか、自社を長く愛してもらえるかが、日々の課題となっている。

モノやサービスが溢れ返り、コモディティ化が急速に進む中、競合他社とどのように差別化を図れるか、また、どういった方法で自社製品を世の中に打ち出すか、模索しながら次々と世の中に新商品を展開している。戦後のモノの時代からモノとデザインと質の時代となり、やがてモノとコトの時代がやってきたが、いよいよモノ自体に問題があるのではと世の中が疑問を持ち始めている。
疑問というのは、そのモノやサービスは本当に消費するべき(されるべき)商品として適正なのかなどである。勿論、日々ローンチされるモノやサービスは誰かの生活に幸せを与えていることは間違いない。しかし、消費者は消費することへの注意力が高まっているのである。例えば、広告に調子よくのせられていないか、本当に自分にとって必要なのかと。

そして、消費者にとって商品価値もまたかわってきている気がする。商品価値とはただ単に、便利だとか、美味しいだとか、楽しいだとか、便利だとか、それらだけにもはや、価値を感じていないのである。今後、企業はどういう商品及びブランドを目指すべきなのか、次の章で述べたいと思う。

その消費行動は健康的であるか

先述の通り、消費行動とは、モノやサービスの消費行動を行うことで、モノやサービス自体と、それらを提供する企業を共感や応援するという意思表明と述べた。

そのような商品とはどのような商品なのか、事例をあげてみるとする。以下は、2011年にブラックフライデーに合わせて掲げた、パタゴニアの広告である。ブラックフライデーといえば、今や日本でも定着しつつあるが、アメリカでは、11月の第4木曜日の感謝祭の祝日を家族や親戚で集まって過ごした翌日に出かける、クリスマスショッピングの最初の日という位置付けのイベントであったが、年々セールイベントの日と認識されるようになった。余談であるが、何故ブラックなのかは諸説はあるが、大型店に押し寄せる人の波が押し寄せ、店員や警備が忙しすぎる「ブラック」な日だから、または売り上げが「黒字」になるからということが語源らしい。そんな中、パタゴニアは「DON’T BUY THIS JACKET」というメッセージで社会に接続したのだ。

f:id:PRBOOK:20210901161751p:plain


パタゴニアは、1953年に創業し、80年代から環境保護に取り組んできており、「生産される商品全てのものが、地球から何かを奪ってしまう。たとえ、オーガニックであれリサイクルであれ、生産過程で温室ガスや廃棄物を産み出してしまう。                                  モノを購入する前に、より良い環境を維持するために、よく考えてから買って欲しい」というメッセージが含まれているのである。                    又、パタゴニアは2016年に、ブラックフライデーセールを開催しており、一見矛盾しているが、その意図とは、売り上げの100%を環境保護団体に寄付するものであった。売り上げは11億円にのぼり、パタゴニアにとっては赤字となるが、巨額の赤字になってまで、社会に伝えたかったメッセージがあるのである。それは、環境のための政策や規制を擁護するため、そして少しでも多くの人が環境への強い価値観を持って欲しいと伝えたかったのである。                

このような方法で、社会への接続を試みる企業をいくつか紹介しておくとする。          アップルは「人種的公平性と正義」というメッセージで社会と接続しており、有色人種のコミュニティが直面する不公平に立ち向かうためのプロジェクトを行っている。   ユニチャームは生理に悩む女性の観点から、様々な活動している。例えば生理期間を快適に過ごしていただけるようにという想いから、例えば、「#NoBagForMe」というプロジェクトで、生理について気兼ねなく話せる選択肢がある社会を目指す活動をすることで社会と摂取している。

このように、地球環境、マイノリティ、カルチャーなどに対し、企業の倫理や姿勢を重ね、メッセージとして社会に接続している企業があり、そういう企業は長く愛される健全な消費行動に導いている企業だといえる。

消費行動をデザインする

マーケティング、プランニング、開発、デザインなどなど、世の中の消費行動をコントロールする言わばクリエーターにとって、消費してもらうことに責任を持ち、消費行動をデザインしなければならない。                         

これは、企業に属する人や企業から受注する広告代理店などに属する方々などが、共通して持つ認識のうちのひとつとして、捉えた方が良いかと思うのだ。                    何故なら良い社会の概念の一つとして、先述の通り、健康的な消費行動が寄与しているからなのである。                               これまでのように、ただモノやサービスが売れれば良いという経済的な対価に重きをおいた考えを持つ時代は、終わりを迎えつつある。
自分や仲間がもっと自由に暮らしやすく、そしてそれらに持続性が備わるような、モノやサービスを消費することが、新しい消費行動の概念なのである。

おわりに

広告及び、広告活動が邪魔物扱いされるようになった今日において、我々自身が邪魔者扱いされているかのような気分にさえなることがあるかもしれない。しかし、これまで、マーケティング、プランニング、開発、デザインなどなど、世の中の消費行動をコントロールする言わばクリエーターは、それぞれの時代に沿った新しいクリエイティブを生み出してきたことを自負して良い。そして、これまでのように、新しい現象が起れば考察し、信念を持ち、新しいクリエイティブを巻き起こす意気込みで、それぞれの時代に立ち向かっていきたいものだ。               

いつだって暗雲が立ち込める時がある、そんな時、日の光をつくることができるのが、クリエイティブなのである。

オススメの関連著書

関連記事

【モテる企画書】課題がない時代に課題を着想し実装する方法

 【モテる企画書】言語が価値を持つ瞬間

prbook.hatenadiary.jp